Fauna+DeSIGN 一級建築士事務所ファウナ・プラス・デザイン

(0)はじめに

□「犬と住む家」暫定txt版|p01|p02p03p04p05p06

以下の「犬と住む家」についての文章は、2001年から2005年にかけて、ペット住文化研究家:廣瀬慶二によって書かれたものです。現在、ファウナプラスデザインでは、10年に渡るフィールドワークを元に分析した結果、「犬と住む家の間取り」に関して、当時と異なる「答え」を持っています。基本姿勢は変わりませんが、若干、古い考え方が述べられていることを御理解下さい。最新の事例については、ペットと住む家の工夫(現行サイト内)で読むことが出来ます。

(1)間取りについて

「犬と住むための間取り」には正解と言える物がありません。人間だけを考えても暮らし方は千差万別。現在当たり前のように作られる●LDKというような言葉も実は60年代に考えられた物です。私の場合、ワンちゃんの性質に合わせてプランを考えます。故にその可能性は無限に広がります。また「便利さ」のみを考えて設計するのもつまらないので「愛犬が絵になる」シーンをよく考えます。例えば暖炉の前でお昼寝する光景やワンちゃんの毛の色に合わせたフローリングなど。日本の多くの家のデザインは「室内飼い」に馴れていません。そこでは「豊かさ」ではなく「混乱」が起きています。家の中に犬がいることを、「豊か」に感じることができる空間づくりを私どもは目指しています。

(2)空間構成(レベル1)

■「進入禁止エリア」
家の中で犬が自由に行き来できる空間を制限するのが良いでしょう。しつけの上でも大切ですし、掃除の面からも有効です。代表的な考えとして「和室」を進入禁止にします。和室はワンちゃんが「破壊」することで被害が大きくなる要素がたくさんあるからです。(「破壊行動」の原因についてはここではふれません。)常にオーナー様がコントロールできれば必要ありませんが、物理的に近づけないようにする方が良いと思います。マンションなどではリビングルームに和室をバリアフリーでつなげる手法が多いですが、私どもの場合は廊下やホールを挟み、リビングルームのドアをWドアにして進入不可とします。また2階へ上がる階段を進入禁止とすれば多くの場合、2階の物音に反応して吠えることはないようです。それは2階が自分のテリトリーではないからです。」
■「玄関のつくり」
配達の人が来ると玄関で吠え続けるワンちゃんがいます。印鑑を押したりしてお仕事が終わると帰られます。犬も配達の人が帰ると吠えるのを止めます。それは吠える仕事が終わったからです。犬には配達という人間の仕事が簡単には分かりませんから「知らない人を追い返す」仕事だと考えるのです。そしてその仕事は100%達成できるので満足感がありますが何故か飼い主には誉めてもらえない。それどころか、飼い主は犬が吠えることに怒って、大きい声を出しています。「親分も一緒に吠えている!だからもっと吠えなきゃ!」案外、犬はそんな風に考えているかもしれません。この状態を私は「ポストマン・シンドローム」と呼んでいます。この悪循環を断ち切るためには、犬が(人間が)無駄吠えをしないように躾ることが大切です。建築的にはポストマン・シンドロームに陥らないように玄関と犬の居住スペースをできるだけ離して、視界からも外す様にしています。
※2009年補足
・飼い主は怒るが効果が無い。むしろ逆効果=「正の強化」
・配達の人は必ず帰る。=「負の強化」
■「室形状」
これは私のこだわりですが、室内でもワンちゃんが「持ってこい遊び」をダイナミックにできるように設計します。具体的には細長いリビングルームです。また室内にたくさん物があると邪魔なので造りつけ家具を床から浮かせて付けます。直線距離で9m走れれば小型犬なら十分楽しめます。かつては廊下でも良いと思っていましたが、前述の「玄関のつくり」でも書いたように、あまり玄関付近に自由に行けるようにはしたくないので最近はこのように考えています。

(3)室内環境

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